Electronics
Electrical system layout
エレクトロニックシステムのイノベーションは、ドゥカティ999の設計に大きな影響を与えている。 ドゥカティ999は、電気系統のレイアウト簡素化と全体の重量低減を可能とする自動車業界で生まれた最新のテクノロジーを採用した最初のモーターサイクルである。 ドゥカティ999の電気系統の重量は、劇的に削減されている。
Controller Area Network
エレクトリカルシステムに採り入れられた最大のイノベーションは、インストルメントパネルとマニェッティマレリ製エンジンコントロールユニットという2つのシステムをCAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)ラインでつないだことである。 これによりモーターサイクル上の多数のケーブル本数、センサーの削減が可能となった。 各センサーからの情報はまず至近のプロセッシングユニットに送られ、ネットワークを介しCPUへと伝達される。 CANラインは、デジタル情報を送るたった2本のワイヤーで構成されるネットワークである。 インストルメントパネルとエンジンコントロールユニットは特別のハードウェアを有し、各ユニットを識別する情報が含まれた一連の電気パルスを認識するのである。 このテクノロジーの採用は、ドゥカティ999のエレクトリカルシステムの簡素化と軽量化に大きく貢献している。
Instrument panel digital electronics
ドゥカティ999のインストルメントパネルはたった400gしかなく、ナローなアッパーフェアリング実現のため垂直に配置されている。 クラシックなホワイトダイヤルのバックライト付の円形タコメーターと、エンジン冷却水温、速度、走行距離、バッテリー電圧、外気温、燃料消費率を表示するLCDパネルで構成されている。 このパネルは、時刻、サービススケジュール、盗難防止装置のステータスも表示する。 2003年のドゥカティ999に新たに採用されたのが、エンジンスターターボタンを押すかオプションのリモートデバイスにより計測するオンボードラップタイマーである。 ラップ毎にトップスピード、到達最高回転数、オーバーレブの発生、経過時間を記憶する。 タコメーター上側には、点火システムの異常、方向指示器の動作、エンジン油圧の低下、ニュートラルポジション、ハイビームON、燃料リザーブ、そしてレッドゾーン手前200及び100回転でのオーバーレブインジケーターの警告・表示灯をそなえている。 このインストルメントパネルは、ライトをもコントロールし、スターターモーター回転時やエンジンが1分以上停止した時に自動的に消灯する。 LCDパネルもまた、エンジンコントロールシステムの異常を捕らえコード表示する機能を備える。 このコードはリペアマニュアルを参照することにより、不具合を特定できる。 インストルメントパネルの照明は、外部の明るさにより自動的に調整され、視認性を向上させている。
Hybrid engine control technology
マニェッティマレリ製 5.9M CPUがドゥカティ999のエンジンをコントロールする。 このデバイスは、振動と温度変化に耐えられる構造となっている;これはエンジン近くに取付けられ信頼性が要求されるものにとって重要なポイントである。 5.9Mのパワーユニットは、バッテリーハウジングに統合され、その結果メインコネクションとヒューズとの電気的接続長を短縮することができた。 5.9M CPUは、スターターモーター、ラジエターファン、インジェクター、そして点火システムをもコントロールする。 点火コイルは"ダイレクトイグニッション"タイプでスパークプラグキャップと一体化:スパークプラグコードを廃止できるため、EMIノイズを可能限り排除することができた。
Electronics
ドゥカティ999は、そのエレクトリカルシステムにCANライン設計を採り入れた世界初のモーターサイクルである。 この重要なイノベーションは、エンジンマネージメントに未来のテクノロジーをもたらし、ユーザーへ新たな機能を提供する。 このフィーチャーは、電気系統を複雑化させず、重量も増加させずに採用できるものである。
The Ducati 999 is theft-resistant
"イモビライザー"と呼ばれる盗難防止装置がビルトインされ、正しいキーを使用しないとモーターサイクルを始動できず、ドゥカティ999をプロテクトすることができる。 インストルメントパネルがスイッチONされると、アンテナを介しキーグリップ内のトランスポンダーが作動する。 このエレメントは、特殊なシグナルを送信、インストルメント内でデコードされる。 CPUがこのコードを認識できなければ、エンジンを始動することはできない。
The charging and starting system
ドゥカティ999に採用されているような大規模なエレクトリカルシステムにとって、電源供給と発電能力は重要なデザインイシューである。 密閉式バッテリーは、極暑・極寒時でも優れた始動パワーを発揮。 エンジンが回転しているときには、ジェネレーターがオンボードデバイスに電力を供給、バッテリーは電気系統からの急激な電力需要増加に備えている。 ジェネレーターのパフォーマンスを最大にしサイズと重量を制限するよう、サマリウムコバルトで造られたマグネットを採用。 この方法と構造は、ドゥカティコルセのモーターサイクル直系のものである。